うつ病に罹患する従業員の増加が問題になっているが、その中で従来のうつ病とは異なる「新型うつ病」と呼ばれる症状が若い人を中心に見られるようになっている。
従来のうつ病の典型的な症状が抑うつ気分や自責の念、罪悪感、気力や思考力の低下などであるのに対し、新型うつ病とされるものでは自分にとって都合が悪いことがあると調子が悪くなり、好きなことがあると調子が良くなる。要するに仕事中だけうつ病の症状を呈し、会社を出ると元気になるのだ。また、自己中心的で他罰的という特徴がよく見られ、従来のうつ病とは対照的に見える。
新型うつ病の休職者ではタイトルのケースのように休職期間中に海外旅行へ行きブログに写真をアップして見つかったり、元気に遊んでいる姿を同僚に発見されたりといった話を耳にする。
こうした事態が発生すると、他の従業員は「あいつ、病気で休職していると言いながら遊び回って……」という不満を持ってしまう。その結果、職場のモラールダウンを招いてしまう可能性がある。このような新型うつ病の部下を持った場合、どう対応すべきか。
原則は安易に素人判断をせず、会社の人事部や産業医、部下の主治医と相談して進めることである。これは従来型のうつ病と同様だ。
会社には安全配慮義務が課せられており、従業員を病気にしないよう業務態勢を整えたり、病気になった人にはそれを悪化させないよう手を打ったりしなければならない。したがってうつ病を悪化させるような厳しい叱責はもってのほかで、相手の体調を見ながら負荷をかけないよう配慮する努力が上司には必要である。
ただ、前述したように新型うつ病の患者は、周囲からはわがままに見える振る舞いを行うケースが多い。
病気が理由であれ、会社の秩序を乱す行動をする場合にはきちんと対応する必要があるだろう。